2学期が始まって、1週間がたちました。子どもたちは、元気に登園し、幼稚園での生活を楽しんでいる様子が見られます。
さて、子どもの意欲を高めるためには、モチベーション(動機づけ)が重要であると言われています。ところが、小学校に勤務していたときに保護者の中には、「テストで100点を取ったら、ご褒美にお小遣いを100円アップしてあげる」とか「マラソン大会で5位以内に入ったら、ゲームを買ってあげる」など何らかの報酬を与えて、子どもに外発的な動機付けでモチベーションを高めようとする方がいました。この方法は、短期的に効果が見られたとしても、ベストな方法とは言えません。ロチェスター大学の心理学者エドワード・デシ氏とリチャード・ライアン氏は、実験によってこれを証明しました。お絵描きの好きな幼稚園の子どもたちにその日に絵を描いたら、お帰りの前にご褒美として、青いリボンと賞状をあげると告げました。2週間後、園児たちは明らかに絵を描くことへの興味を失い、ご褒美をあげる前より、絵を描く時間が減ってしまいました。幼稚園の子どもにとって、もともと好きで熱心に描いていたお絵描きが、仕事になってしまい、価値のない物事になってしまったと分析しています。
では、どうすればモチベーションを高めることができるのでしょうか。それは内発的動機づけを高めることです。エドワード・デシ氏とリチャード・ライアン氏によると、以下の3点が鍵になるそうです。
①自律性 管理、強制されるのではなく、自分で選んで、自分の意志でやっているのだという実感を最大限に持たせること。
②有能感 自分の能力を少し超えるくらいで、やり遂げることはできそうで、簡単すぎない課題であること。
③関係性 大人に好感を持たれ、価値を認められ、尊重されていると感じるとき。
この3つの感覚は、青いリボンと賞状よりもはるかに動機づけの効果があるそうです。最終的に、内発的動機付けは子どもが自分自身の学びの主体者となり、学び続ける基盤を築くのに役立ちます。大人として、子どもたちのモチベーションを高めることは、子どもの興味関心を追求し、自分自身の目標に向かって努力する姿勢を育てることになります。そのことが子どもたちの将来にとって、最も価値のある贈り物となることでしょう。