毎年4月に小学6年生と中学3年生を対象に実施されている全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が7月29日公表されました。それによると、中学校国語の平均正答率が過去最低となり、「読む」技能が必要な問題や記述式を苦手とする傾向が浮かび上がりました。学校現場からも「長文を読ませても、すぐにあきらめてしまう」「文章を読み解く忍耐力のようなものが年々下がっている」「SNSなどの短く刺激的なコンテンツに慣れ、文章を味わったり、読み解いたりする醍醐味を知らない子どもが多い」と言った心配の声が上がっています。
全国学力テストと合わせて行われた児童生徒への質問調査とのクロス集計によると、SNSなどの利用時間が「30分未満」と答えたグループが小中学校の全教科で最も成績が良く、「4時間以上」は、最も悪く成績が落ちていました。利用時間の多い児童生徒は、当然、学習時間が短くなり、就寝時間も乱れがちです。社説には、①学習時間を確保するには、SNS利用に一定の歯止めをかける必要がある。②一人1台の学習用端末をすべての児童生徒に配付したGIGAスクール構想について検証する必要があると書かれていました。
この問題は、小中学生だけの問題ではなく、幼稚園の子どもたちに関わる大人の問題でもあります。スマートフォンやタブレットに子育てを任せていると、時間的には楽になっても子どもとの関係が薄っぺらなものになります。東北大学教授の川島隆太先生は、読書習慣の大切さを訴えています。幼児には、読み聞かせによって、感情や情動の脳が働き、読む側の大人の脳もコミュニケーションの脳が働きます。したがって、読み聞かせは親子にとって、極めて良質なコミュニケーションの場となり、子どもの心が安定し、親への信頼と愛着が増します。その結果、親のストレスもぐっと軽くなります。言葉の数が増え、文法についての理解力も上がり、話したり聞いたりする力もついてきます。言語面での成長は、集団生活をしていくうえで、指示されたことが理解できるようになるので、大人から見た問題行動の減少にもつながります。幼稚園では、帰りの会などに先生が読み聞かせをしています。夏休みの期間には、ぜひおうちの方がたくさん読み聞かせをしてあげて欲しいと思います。