
「しつけ」は、漢字では「躾」と書きます。文字通り身を美しくさせることです。子どもを全うな人間に育てるために「しつけ」が必要であるし、社会常識を身につけさせたいというのは親として当たり前の願いです。ただ、「子どもを伸ばす5つの習慣」の著者石田勝紀氏によると、「しつけ」が「おしつけ」になっているケースがよくあるそうです。
以下、本文の概要を記します。社会のルールや常識的にやってはいけないこと、自立するために必要な日常習慣などを教えることが「しつけ」だとしたら、それを「感情的に」「怒りながら」言い聞かせようとする行為が「おしつけ」です。イライラしたお母さんから「何度言ったらわかるの、早くしなさい」と怒鳴られると、子どもは怖いから、あるいは面倒だから、いったんはしたがって見せますが、親の求めるルールをきちんと理解したわけではありません。よって、同じ誤りを何度でも繰り返します。子どもに残るのは、親にまた怒られたという事実と恐怖心だけで、社会のルールの習得には結び付きません。子どもは、怒れば怒るほどできなくなり、言えば言うほどできなくなります。これを「おしつけの法則」と名付けました。言えば言うほど、真逆の結果を読んでしまうことが少なくありません。では、どうすればいいのでしょうか。子どもには、命令するのではなく、わからないことやできないことは、まずは教えてあげるというスタンスが大事です。感情を交えずにやり方を教えてあげることで、子どもは自然とできるようになることがあります。イラっとした時に「あ、私は今怒っていると」気づくだけでも「おしつけ」は減っていきます。
別の項には、親は子どもに対して「同級生」のように接するとよいと書いてありました。これまでの命令口調ではなく、例えば「そろそろ着替えたほうがいいんじゃない」「部屋を片付けたほうが気持ちいいかも」「先に宿題を済ませてから一緒に遊ぼう」「手を洗わなくても大丈夫」などなど。子どもとの関係は気楽になり、ストレスも軽減されるそうです。



