通訳

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 幼稚園では、生活の空間を多くの子ども達が共有するためにちょっとしたことで言い争いになることが頻繁にあります。大人としては、気になるものです。しかし、子どもの成長にとって必要な経験であることに間違いありません。子どもは、自分の感情や思いを表現する方法を学び、他者との関係や社会のルールについても理解を深めます。子どもの社会性やコミュニケーション能力、非認知能力を育む機会でもあります。

 先日、3名の子どもが、並ぶ順番でもめていました。「私は真ん中がいい」「私は、○○さんの隣がいい」「私も真ん中がいい」……。自分の考えを主張しあい、言い争いが起きてしまいました。なかなか収拾がつきません。たまたまそばにいた職員がその対応に当たっていました。私は、職員や子ども達のやり取りを傍らで観察していました。こういう場合、大人の側で早急に解決させてしまうことがありがちです。その場の課題がいち早く解決したかのように思えますが、大人がすぐに仲裁に入ってしまうと、子どもは自分で考える機会を失ってしまいます。一方の子どもをかばったり責めたりしてしまうと、子ども同士の関係に悪影響を及ぼすこともありえます。職員が通訳(この場合の通訳はお互いの言っていることをわかりやすく伝えること、話の内容を整理すること)しながら見守っていると、考えを出し合って、じゃんけんで決めることになりました。じゃんけんの結果通りに並ぶと何事もなかったかのように仲良く園庭に飛び出していきました。ささいな出来事ですが、自らの力で課題を解決し、一歩成長したように思います。

 これからの世の中で、自分の頭で考えることがますます重要になってくることは、教育に関わる学者の誰もが言っていることです。大人はつい手を出してしまいそうになりますが、子ども自らの能力を信じて、ぐっと我慢して、通訳に徹することが大切だと思います。

 

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

入園に関すること、園内見学などの
お問い合わせは、こちらまで。

お問い合わせ