題名の「光れ、泥だんご」は、2001年NHKで放送された番組のタイトルです。先日、「にんげん ドキュメント」という番組の中で、23年前のその番組が紹介されているのを偶然目にしました。
2001年当時、京都教育大学の教授であった加用文男先生は、週1回訪れる保育園で、子どもたちに泥だんご作りを教えました。子どもたちは無我夢中になって、一日中泥だんごを作り続けています。番組の中で、自分の作った泥だんごを友達がぶつかったことによって壊されてしまう場面がありました。壊された子は、涙を流してしまうのですが、壊してしまった子が謝ると、今までのことがなかったかのようにニコニコと走り出していきました。加用先生が作ったピカピカの大きな泥だんごを自分の泥だんごを作っている子どもに渡して、どのような反応を示すか、実験する場面がありました。きれいな泥だんごを渡された子どもは、興味は示すもののやはり自分のものがよいようで、きれいな泥だんごを返してしまいます。2日間かけて作った泥だんごを転んで壊してしまう場面がありました。その子は、帰りの時間が迫っているにもかかわらず、また作り出そうとしていましたが、担任の先生に手を引かれ、なくなく帰っていく様子が映し出されていました。
私もそうですが、大人は泥だんご作りを通して、子どもの将来にとってどんないい影響があるのかをつい考えがちです。手先の器用さや手首の動きを鍛え、子どもたちの運動能力や創造力を高める効果があるのでは?泥だんごを作る過程で友達とのコミュニケーションが自然と促され、社会性や協調性を育む機会になるのでは?自己肯定感を高め、自分の作品に対する誇りや達成感を感じさせることで、精神的な成長を促すのでは?しかし、加用先生は、全力で集中する時間を過ごすことに意義があり、その時が充実していればよい。好きなことに熱中する時間をつくることができればいいと結んでいました。
番組を見終えた後、私はすっかりその存在を忘れていましたが、妻が30年ほど前に家で子どもたちと一緒に作った泥だんご(上の写真)を出してきました。