TOP > 北丘幼稚園での毎日 > 啐啄同時

啐啄同時

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

   親は立派な人間に育てようとするあまり、つい子どものやることに手を出してしまいがちです。例えば、食事の際に今まで親が食べさせてくれることに従ってきた子どもが、自分でスプーンを持ったり、箸を使って食べようとしたりする時期があります。親が手伝おうとすると、手を払いのけて自分でやろうとします。まだ、うまくできないので、周りは汚れ放題となります。こんなとき親は、食卓をこれ以上汚したくないので、手伝ったり、叱ったりすることになりはしないでしょうか。自分でやろうとする意志が出てきたのですから、その気持ちを尊重することが大切です。どうしたら上手にスプーンを持てるか。どうやったら、箸をうまく動かせるか。時間をかけて教えるときです。啐啄同時(鳥の雛ひなが卵から出ようと鳴く声と母鳥が外から殻をつつくのが同時である)と言われますが、まさに学ぼうとする者と教え導く者の息が合って、相通じる時期です。このときに教えていくと、子どもは喜んでやろうとします。こうした子育てをしないまま小学校に入学すると、「もう1年生なのだから自分でやりなさい」というようになり、子どもの心を傷つけてしまうことになりかねません。

 子どもがやろうとする気持ちを大切にして、任せて見守ること。これが大人にどれくらいできるかが重要な鍵となります。登園時に玄関のところで、防寒着を自分で脱ごうとしたり、傘を閉じたりするのを見守っている保護者の姿を目にします。時間はかかるかもしれませんが、それが大事だと思います。幼児教育の先駆者である倉橋惣三先生は「自ら育つものを育てようとする心が育ての心である」と言っています。子どもは主体性をもった1つの人格体です。親の思う通りに「なれない」のではなく「ならない」ものだそうです。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

入園に関すること、園内見学などの
お問い合わせは、こちらまで。

お問い合わせ