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もうすぐ長い夏休みに入ります。夏休みには、普段できないような体験をたくさんさせてほしいと思います。
さて、私が初めて担任した４年生のクラスの中にＳ君という男の子がいました。Ｓ君の母親が懇談会の時に話してくれたことが、お手伝いの話になると必ず頭に浮かびます。Ｓ君のお手伝いは、家族で食べる食パンを買うことです。ある時母親は、食パンがいつも入っているカンの中に食パンがもうないことに気付きました。普通の母親でしたら、「Ｓ君、明日食べるパンがもうないから買ってきて。」とでも言うでしょうか。ところが、Ｓ君の母親は、何も言いません。当然、次の日のパンはなし、何も食べずに家族は仕事や学校に出かけて行きました。それ以来Ｓ君は、自分のお手伝いであるパンを買うことを忘れることはなかったそうです。
もう一つお話を。あれた大阪の公立中学校を陸上競技の個人種目で１３回の日本一を輩出したカリスマ体育教師 原田隆史先生は、その著書の中で、「目標を持たせて、毎日当たり前のことを当たり前のように継続させることが大切である。」と述べています。その方法は、自分が取り組んでいる種目の目標を持たせ、そのために何をどうするかをこと細かくノートに書かせます。その中で、陸上競技とは全く関係のない家でのお手伝いを大事にしています。例えば、皿洗いをするとか、風呂掃除をするとか、靴をそろえるとか、妹の面倒を見るとか……。それぞれ自分で決めたことは何があっても実行させます。風邪をひこうが体の調子が悪かろうが絶対に決めたことはやらせます。しかも毎日、できたかどうかの確認までしました。一見、日本一になることと全く関係ないことのように思えますが、強い心を育てるために必要不可欠なことだそうです。
できるお手伝いを毎日続けることがやがては本人の成長につながっていくものです。
